グローバル資本主義とコモディティ化 個人レベルで考えるべき未来とは

資本主義の限界を述べる本では 確かに! と納得する点も多々あるが、価値主義や評価経済が資本主義にとって替わるとは到底思えず、グローバル資本主義は強くなると思わざるをえない現代。

答えのないモヤモヤした思いを抱いていた時、知人に瀧本哲史氏の書籍を紹介された。

著者は以下のテーマで述べられている。

POINTグローバル資本主義時代に人間として豊かに、幸福に生きるためにはどうすれば?

あらゆるものがコモディティ化する時代、どんな職業でも専門性は大切だが 本当に必要な専門性とは何か? アプローチの仕方や個人レベルでも出来ることなど、多くの示唆に富んだ本だった。

資本主義世界でのゲリラ戦

大企業に比べれば力・資産は少ないので、一攫千金を狙うのでなく、自分の時間や労力、才能を何につぎ込めば、リターンとしてマネタイズ出来るのかを真剣に考える事が何よりも大切。

そのためには 資本主義の本質・メカニズムを理解し、そんな世界でどんな人がゲリラ戦を生き抜けるのか?どのような要素がそれが決定されるのか? それを魚をとる漁師を例に説明されている。

ちなみに 儲からない漁師 とは、自分では何も考えず、ただ人に使われているだけの漁師で、単なる労働者としてしか見なされず、代わりの漁師を雇えば誰も困らない、コモディティ化された存在。

TaNA
随分辛辣な言われ方だ(;^_^ ITエンジニアで考えてみると、Excelエビデンス作りに特化したテスターがすぐ思い浮かびますが、技術のコモディティ化が激しいので、開発経験があっても中途半端なスキル・経験ではコレに該当しそう。

まず本書では 儲かる漁師6つ のタイプに分類。

① トレーダー : 商品を遠くへ運んで売れる人

② エキスパート : 専門性を高めて仕事をする人

③ マーケター : 付加価値をつけて市場に合わせられる人

④ イノベーター : 新しい仕組みをイノベーション出来る人

⑤ リーダー : メンバーを管理してリーダーとして行動する人

⑥ インベスター : 投資家として市場に参加する人

資本主義社会でコモディティ化せず、主体的に稼げる人間になるためには、上のいずれかになることが近道となるのですが、今後トレーダーとエキスパートは価値を失っていく(理由は後述)

今後価値を失う2つのタイプ

トレーダーとは単にモノを右から左へ移動させることで利益を得てきた人のことで、従来の商社や広告代理店・旅行代理店など代理店業務を行う会社などの事。

POINTインターネットの普及で人々の購買行動は、一昔前に比べて劇的に変化している!

インターネットの登場で、あらゆるモノが一覧表示、スペック比較が可能となり、価格の透明性も向上しているので、モノを右から左に流してサヤを抜く代理業務をは先細るばかり。

TaNA
IT業界における多重下請け構造にて、元請けからの仕事のマージンを抜いて、孫請け・ひ孫請けに丸投げする会社の社長や営業職は該当するかもしれない。後は付加価値の少ない営業・エージェント企業…エンジニアはあまり該当しないかな。

エキスパート は非常に分かりやすい職種だが、10年間の産業変化のスピードが過去と比較にならない程に速く、特定の専門知識を身につけても、社会変化に伴ってニーズが消えると、知識の必要性自体が一気に消滅するので生存が難しいと(納得の説明)

TaNA
専門性といっても数年開発経験があるだけの人と、一からOSや言語を作れるではレベルが全然違う(;^_^ またエンジニアは専門性を磨くために自己学習できる人が多い印象だが、+αで今何を学ぶべきかマーケター観点はもっと大切なのかも。

そうは言いつつも専門知識を学ぶ意味が無いとは言えないので、限られた自分の時間や労働・才能を何につぎ込めばリターン出来るか…例えば色んな技術が生まれても、本質的に変わっていないWeb技術やRDBMSを学ぶとか、その点は真剣に考える必要があり過ぎる。

付加価値を生み出すマーケター

マーケター は端的に 顧客の需要を満たすことができる人 で、顧客自体を新たに再定義出来る人。

資本主義社会では市場競争が行われ、コモディティ化により価格が低下、商品は市場から淘汰、その繰り返しが今も行われているが、インターネットの登場以降、あらゆる 差異 が生まれた瞬間から世界中に拡散され、すぐにコモディティ化するため、単なるスペックの差異では差がつかない事実。

POINTコモディティ化に対抗する手段は、ストーリーやブランドの付加価値を生み出す事!

現代で富を生み出す時代のキーワードは 差異 で、ストーリーやブランドなど一見捉えどころのない付加価値を作り出し、適切な市場を選んで商品を売る戦略を考えられる事と説明。

TaNA
本書ではパナソニックのレッツノートを例に、商品にストーリーを乗せて売ることを説明されているが、自分自身が商品であると考えれば、自分を売り出す時にも何かストーリーがあると、他者との差別化に繋がるかもしれない。

言うは易しだが、適切な市場を探す作業は難しい気がする。

イノベーターとリーダーの役割

イノベーター は新たな仕組みを生み出せる発明家タイプ。

漁師で言えば、他の漁師が釣竿で一尾ずつとるのに対して、漁船や定置網を活用して少ない労力で多くの魚を獲得したり、釣竿にリールをつけたり、ルアーを使うなど考えられる漁師。

リーダー も分かりやすく、ITエンジニアの多くはマネージメント層になりたがらない印象だが、プロマネやリーダー職は一般企業が一番欲しがるタイプかもしれない。

例えば多くの漁師を配下に持つ、漁師集団のリーダー型の漁師だったり、人望やリーダーシップに優れ、多くの若手漁師を集め、リーダーの指示に従ってチームワークで漁を行う漁師。

各人が自身の適性と向き合い、どれに力を入れていくか考えることが重要。

仲間をつくることの大切さ

また 君に友だちはいらない では、コモディティ化から逃れ、人間として豊かに、幸福に生きるには仲間を作ることも大切であると言及。

タイトルと内容が逆境しているように思えますが、これはワンピースのような幻想を抱いたり、無駄にSNSで繋がったりするのではなく、まず自身のネットワークを棚卸し、多様性のあるネットワークの確保したり、自分からポジションを取りに行く重要性に言及。

ワンピースの世界とは違った本物の海賊論理、人間の 交差点 がイノベーションを生む話、グーグルの採用方法など面白い話にも話題が及んでいた。