シンギュラリティは本当に来るのか!? 人類の未来・AI・経済・民主主義

吉成真由美氏が錚々たる著名人(チョムスキー、カーツワイル、ウルフ、インゲルス、ダイソン)と政治、AIテクノロジー、経済、ライフスタイル、気候変動など人類の未来を対談形式でまとめた一冊。

Amazonレビューの評価は上々なのですが、幅広く難解なテーマばかりを扱っており、本当に予想通りの未来になるのか疑問ですが、各分野における権威の考えを知れる良い本だと感じます。

特に興味深いシンギュラリティですが、世界的ベストセラーになったユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書を引き合いに本当にシンギュラリティが訪れるのか、対談を通して考えを述べられています。

チョムスキーとレイ・カーツワイルで意見の違いについて抜粋。

シンギュラリティは空想なの!?

元々は数学者であり、言語学者にして政治学者でもあるノーム・チョムスキー。

昨今話題のシンギュラリティを「空想で完全なるファンタジー」とバッサリ。

昨今ロボット化やテクノロジーの進化は認められるも、AIが人間の知能を超えるアイディアは完全な夢で、現時点のAIは膨大なデータをコンピュータによる高速な計算力に頼ったものに過ぎないと。

POINT現在のAIは何を求めるべきかを知る人間がデザインしたプログラムでガイドされている.

ディープ・ラーニングにしろ、AIが膨大なデータを繰り返し学習し、最終的に知能を真似るところに達するもので、グーグル翻訳システムには役立つかもしれませんが、実際の知能の働きとはかけ離れていると指摘、巨大資本を背景にしたPRでしか無いそうです。

POINTテクノロジーの発展が知能や創造性の本質の洞察をもたらす兆候は今のところ見られない.

未だにシンプルなハチの飛行の本質すら分からないのだからと締められていました。

個人的にシンギュラリティ来て欲しいので残念なご意見でした。

指数関数的な成長がもたらす未来

しかし発明家にして未来学者であるレイ・カーツワイルは、シンギュラリティが来ると話してます。

「シンギュラリティ」の概念で最も大切なのは情報技術の「指数関数的成長の力」であり、コンピュータのコストパフォーマンス、ヒトゲノム計画の解析が指数関数的に伸びた事を挙げており、全ての分野に当てはまらずとも、この流れは情報テクノロジーの全てに起こっている事に言及。

チェスや囲碁などコンピュータが少しずつ人間より上手くなってるし、最近では犬と猫の判別も可能になりました、またイメージ認識能力に関して言えば人間より優っている場合があるとか、コンピュータが全ての分野で人間を超える時期にも言及されています。

POINT近年のテクノロジーの進化を鑑みると2029年に訪れる!!

どうやら人間の脳機能をシミュレートするには毎秒10の14乗の計算量が必要らしく、2029年に近くにつれ、ハードウェアは間違いなくこの能力に到達、肝心のソフトウェアに関してスパコンは既に超えており、2020年代になればコストも下がり、速いスピードで進んでいることは確実。

また後半ではAIによる寿命延長や神経系との融合、2030年代には三億の新皮質モジュールを備えたバイオロジカルな脳やら、無限の拡張機能を備えたクラウドの人工的な新皮質など、もはやSFチックな話が繰り広げられており、信じるか信じないかはあなた次第といった感じですね。

レイ・カーツワイルの話の方が読んでてワクワクします。

著名人による推薦図書

最後に若い人たちにどのような本を薦めるかという問いに幾つかの推薦図書を挙げられています。

カーツワイルはマービン・ミンスキーの「心の社会」とガブリエル・ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」を、ウルフはジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」と「文明崩壊」、ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を薦められています。

政治に興味があればマキアヴェリも必読、日本人には馴染みが無いですが、エドワード・ギボンの「ローな帝国衰亡史」など、インゲルスはキム・スタンリー・ロビンスンの「火星三部作」など。

またダイソンは人生リスクを恐れず行動するようアドバイス後、E・T・ベルの「数学を作った人びと」を薦められています。ちょっと難しそうですが、数学者のバカで愚かな付き合いにくい人間模様が生き生きと描かれているとか。